北陸新幹線, 敦賀以西のルートについて考える

北陸新幹線敦賀以西の延伸ルートが議論されていますが, 気が収まらないのでここに自分の考えをまとめたいと思います.

結論から書くと, 米原ルート以外ありえないと思います. 以下でその理由について議論したいと思います.

 

話を簡単にするために, 「小浜京都ルート」と「米原ルート」だけを考えることにします. まずそれぞれの建設費用, 工事期間,  大阪-敦賀の所要時間, 費用対効果は政府による試算だと

小浜京都 : 2.7兆, 13年, 43分, 1.1

米原        : ~0.6兆, 5年, 67分, 2.2

 

小浜京都ルートの米原ルートと比べた時のメリット・デメリットとしては

  • (メリット) 所要時間が短い
  • (メリット) 小浜という新しい経由地により若狭地域の活性化につながる
  • (デメリット)  莫大な工事費用と長い工事期間
  • (デメリット) 北陸ー中京圏の結びつきが弱くなる
  • 費用対効果はギリギリ1を超える = なんとか投資に見合う効果が得られる

米原ルートの場合のメリットデメリット

  • (メリット) 建設費が安く早く開通
  • (メリット) 中京圏との連絡もよい. 特にリニア開業後に重要
  • (メリット) 費用対効果は京都小浜の倍, 投資額より大きな効果が得られる
  • (デメリット) 米原-新大阪はJR東海の路線を利用するため, 乗り換えの発生可能性や会社ごとに料金が発生することで特急料金が割高になる
JR西日本-JR東海の壁

最後のデメリットがよく取り上げられ, 米原ルートはやや押され気味になっているよう感じます. JR西としてはこの区間の分減収になりますし, 大阪-東京の輸送に集中したいJR東海にとっても大した収入にならないので労力の方が大きく乗り気でないようです. しかしこれらは経営的な都合であり, 技術的, 原理的に解決できない問題ではないはずです. もちろんタダではないでしょうが. JR西の減収にならないような運賃体系の取り決めや, 設備の違いによる乗り入れの困難もその気になればできない問題ではと思います. (運賃は既に国鉄時代の名残の「京都市内」とかで, 会社ごとに収益を割り振る仕組みがある筈ですし, 新幹線の会社を超えた直通は既に行われています.) 会社としてできないのであれば, 行政として問題解決に向け食い込んで聞くことが重要と思います. 行政から設備改修にかかる費用を拠出しても京都小浜ルートよりは安くできるのではないでしょうか(予想)?

小浜京都ルートでの「京都-大阪の新幹線二重化」

上記の運賃の問題がるため, JR西が推す京都小浜ルートでは京都-大阪にも新たに路線を作ることになっており, 建設費高騰の一因になっています. 利用者目線ではJR西でも東海でもいいから便利なものを安く, 早く作って欲しいものです. 建設が終わる頃にはリニアも開業, もしくは開業間近でしょうから路線過密の問題もなくなっており, 高い費用をかけ二重化する意義は全くないです. しかも大阪ターミナルは地下で山陽新幹線との直通可能性もなし. 京都や大阪という土地柄, 工事の途中で遺跡などが見つかれば長期間工事がストップし工事がさらに長期化する可能性も十分あります. 高額の費用をかけても良いものができるならいいですが, 利用者になんのメリットはないです. JR西の利益をまもるためだけに高額な費用がかかるこのルートの建設には反対すべきです.

北陸-名古屋の流れの重要性

米原乗り入れが実現すれば, 新大阪-敦賀の所要時間は50分程度まで短縮でき, 京都小浜ルートに及ばないものの悪くない程度まで短縮できます. 北陸-名古屋 の流れも確保できるので, リニア開業していれば, 例えば福井->東京は 北陸新幹線を経由するより 福井-(北陸新幹線)->米原-(東海道新幹線)->名古屋-(リニア)->東京 といった方が, 米原で乗り換えがあったとしても早いでしょう. ですから小浜京都ルートを強く推す福井県としても, 米原ルートの方が理にかなっている筈です.
(個人的な憶測1 :福井県は小浜に通した後米原にも通せと要求してくるのでしょう.
2 : JR西としては自社区間をより長く走る北陸新幹線ルートを福井には進めたいと思っているでしょうから, またしても米原ルートは都合が悪いわけです.)
逆に米原に乗り入れないとどうなるのか, 中部地方の2つの大きな都市を結ぶ名古屋-金沢という流れに着目すると, このままでは米原敦賀の2回も乗り換えが必要になります. それなりに大きな人の流れだと思いますが, 1回の乗り換えはまだ仕方ないとしても2回は乗客を舐めすぎでしょう.

若狭地域の活性化

これも小浜京都ルートを押す人の主張ですが, そもそも小浜は人口3万程度の小都市. 地域活性化も大事ですが, これだけの規模の都市のために巨額の費用をかけてルートを捻じ曲げてわざわざ新幹線を通すのは無理があります. 速達性を主張するなら京都から湖西線沿いを通るルートが最も早い筈ですが, なぜか最近は検討ルートから外れてしまっているようです. 地方活性化も身の丈にあった出費で行っていく必要があります. 最近進展がないようですが, 小浜市から湖西線への短絡ルートを作り, 京阪神へアクセスを高める「若狭湾琵琶湖快速鉄*1」という計画があるそうです. 京都へ1時間で繋がる予定で, 費用は400億円程度*2に脚注を書きます. まだこちらの方が現実的です. 米原ルートのついでに作っても全然京都小浜ルートより安いです.

一刻も早い整備を

計画では敦賀までの延伸は決まっており, 関西-北陸の人の流れで, 暫くは敦賀での乗り換えという期間が続くかもしれません. フリーゲージトレインで, 乗り換えなしで在来線から新幹線に乗り入れるという話もあるそうですが, 新幹線レベルの速度で走れるものはこの世に未だ存在せず, 実現できるのか, 私は疑問です. もしできるのなら敦賀以西は作らず, フリーゲージトレインで全て済ます, というのは割といい考え方なのではないかと思います. 東京-金沢が開業し, 北陸から首都圏への時間距離がぐっと縮まった今, 一刻も早く北陸-関西の流れを整備しないと, 北陸人はみな東京を向いてしまい, 関西の衰退にも繋がりかねません. 1年でも早い整備が必要という観点でも, 建設期間がべらぼうに長い小浜京都ルートは不適切で, 少々の時間が所要時間が長くとも米原ルートで早期の建設を進めるべきです.

 

といろいろ思いますが, やはり費用対効果で圧倒的に米原ルートなので普通に考えたら決まりですよね... 何か政治的な裏があるんでしょうか? 原発関係とか?

私が考え逃している点がいくつかあるかもしれません. コメントなど頂けましたら幸いです.